実はわたくし、社会人になってから大学院に通った経験があります。
一度4年制大学を出ているのですが、別の分野を勉強するために改めて大学に通うことにしました。
選択肢として、
- 再び4年制大学に入る
- 4年制大学に編入する
- 大学院(修士課程)に入る
という2つがありました。そこで、大学院を選んだ理由を、そのメリットをからめてご説明していこうと思います。
なお、履修のルールなどは大学によって大きく事情が異なる可能性がありますので、この記事の情報はあくまで参考程度にしていただき、正確な情報は各大学のホームページ等でご確認いただきますようお願いします。
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大学院は学部の授業を履修することが可能
私が通った大学院では、大学院の授業以外に、学部の授業を自由に履修することが可能でした。
私は、改めて大学に通うにあたって、新たに学ぶ分野の基礎からしっかりと学びたいと思っていたので、これは大変ありがたい制度でした。
学部の1年、2年生向けの科目を履修して、基礎をしっかりと勉強することができました。
なお、これは大学によって事情が違うようで、「学部の授業なんて全く取れない」という大学もあるようです。
学部に入るか迷っている方に関して、もしその大学の院が学部の授業を取れる制度になっているなら、
大学院に入って学部の授業を履修する手もある
ということです。
大学院(修士課程)は修了要件の単位数が少ない
大学院の単位数についてこのような規定があります。
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第十六条 修士課程の修了の要件は、大学院に二年(二年以外の標準修業年限を定める研究科、専攻又は学生の履修上の区分にあつては、当該標準修業年限)以上在学し、三十単位以上を修得し、かつ、必要な研究指導を受けた上、当該修士課程の目的に応じ、当該大学院の行う修士論文又は特定の課題についての研究の成果の審査及び試験に合格することとする。
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大学院設置基準 | 昭和49年6月20日 文部省令第28号(平成29年4月1日施行)
注目していただきたいのが単位数で、30単位以上とあります。年平均15単位ですよね。これ、かなり少ないです。
これが、学部の方ではこうなっています。
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第三十二条 卒業の要件は、大学に四年以上在学し、百二十四単位以上を修得することとする。
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大学設置基準 | 昭和31年10月22日 文部省令第28号(平成29年4月2日施行)
4年で124単位ということは、年平均31単位です。
つまり、大学院というのは、「学部の1年分の単位を2年で取れば良い」というほど、少ない授業数でも修了が可能なのです。
この趣旨は、研究活動に時間を充てることだと思うのですが、これによって、学部の授業を履修したり、はたまた、仕事をしながら通っているような方もいらっしゃいます。
大学院は、とても自由なのです。
大学院は、その専攻以外の学部を卒業していても受験できる
これは私が最初に驚いたことなのですが、学部と全く違う専攻の大学院を受験することが可能です。そうでなければ、私は大学院に行くことはできませんでした。
文部科学省のページにこのように書かれています。
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修士課程・博士課程(前期)の入学資格は以下のいずれかに該当する方に認められます。
1. 大学を卒業した者(法第102条)
2. 大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(施行規則第155条第1項第1号)
3. 外国において、学校教育における16年(医学、歯学、薬学又は獣医学を履修する博士課程への入学については18年)の課程を修了した者(施行規則第155条第1項第2号)
4. 外国の学校が行う通信教育を我が国において履修することにより当該国の16年(医学、歯学、薬学又は獣医学を履修する博士課程への入学については18年)の課程を修了した者(施行規則第155条第1項第3号)
5. 我が国において、外国の大学相当として指定した外国の学校の課程(文部科学大臣指定外国大学日本校)を修了した者(施行規則第155条第1項第4号)
6. 外国の大学等において、修業年限が3年以上(医学、歯学、薬学又は獣医学を履修する博士課程への入学については5年)の課程を修了することにより、学士の学位に相当する学位を授与された者(施行規則第155条第1項第4号の2)
7. 指定された専修学校の専門課程(文部科学大臣指定専修学校専門課程一覧)を修了した者(施行規則第155条第1項第5号)
8. 旧制学校等を修了した者(昭和28年文部省告示第5号第1号~第4号、昭和30年文部省告示第39号第1号)
9. 防衛大学校、海上保安大学校、気象大学校など、各省大学校を修了した者(昭和28年文部省告示第5号第5号~第12号、昭和30年文部省告示第39号第2号)
10. 大学院において個別の入学資格審査により認めた22歳以上の者(施行規則第155条第1項第8号)
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修士課程・博士課程(前期)の入学資格について | 法:学校教育法 施行規則:学校教育法施行規則
この1個目を見ていただくと分かりますが、「同じ専攻」ということは書かれていないんですね。
大学院のデメリット
ここまでメリットを書いて来たので、最後にデメリットにも触れておこうと思います。
最初に、(大学にもよるようですが)学部の授業を履修できるという話を書きました。
しかし、当然ながら、履修の優先順位は学部生の方が上になります。私の通った大学院では、履修を希望しても学部生だけで定員になってしまって履修できない授業というのがありました。
これが一点。
もう一点は、これは、大学によって、また、専攻によっても大きく異なると思いますが、必修の授業が少ないので、他の学生との交流が生まれにくという点です。
学部だと、必修科目の時間は必ず顔を合わせる人というのがいるので、自然と交流も生まれやすいですが、院ではそういった授業がかなり限られます。
そのため、積極的に他の学生と交流をもつ姿勢がないと、なかなか交友関係が広がっていかないと思います。
思いつくのはこんなところかなと思います。
まとめ
4年制大学を一度卒業して、新たに別の勉強をしたいと考える方は意外といらっしゃるのではないかと思います。
学部に入り直して1年生から時間をかけて勉強する、あるいは3年に編入して学部生と一緒に学ぶという方法もありますが、選択肢の一つとして、大学院というのも視野にいれておくと良いのではないかと思います。
この記事がどなたかの参考になれば幸いです。長文にお付き合いいただきありがとうございました。
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