多くの方が見たことがあると思われる、『禁じられた遊び』という名前。これを見て何を想像しますでしょうか?
映画という方もいれば、ギター曲という方もいると思います。
映画 禁じられた遊び
映画『禁じられた遊び』は日本では1953年に公開されましたが、2018年に日本でリマスター版が公開されたほど長きにわたって人気を保つ名作です。
音楽を担当しているのはギタリストのナルシソ・イエペス。その演奏によって、テーマ曲はギター曲の代名詞ともいえるほど人気となりました。
禁じられた遊び ギター曲
映画『禁じられた遊び』のテーマ曲は、『禁じられた遊び』とも呼ばれていますが、正しくは『愛のロマンス』とされています。
作曲者不詳のスペイン民謡であったり、はたまたイエペス作曲であったりと、作曲の経緯についてはいろいろな説がありました。
禁じられた遊びの作曲者
現在、最も有力なのが、スペインのギタリスト、アントニオ・ルビーラが作ったという説です。
ルビーラの作曲した原曲の楽譜が見つかっており、それを見ると、有名な『愛のロマンス』とは伴奏形が少し異なっているのですが、メロディーもコードも同じになっているのです。
その楽譜のコピーは、こちらの書籍に掲載されています。
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GG582 ギター名曲ミステリー <禁じられた遊び>は民謡ではなかった! クラシックギター名曲の謎と12人の天才ギタリストたち
かつてギターが好きな人の間では、「『禁じられた遊び』って、本当は『愛のロマンス』っていう曲名なんだよ」という話がされていたところ、今や「『愛のロマンス』ってルビーラが作曲した練習曲なんだよ」と言われる時代となったようです。
エリーゼのためにはテレーゼのために?
ところで、長く誤解されてきた曲ということでは、ピアノの名曲『エリーゼのために』も思い浮かびます。
この曲、ベートーヴェンの筆跡があまりにも汚かったために、本当は「テレーゼ」と書かれていたにも関わらず、誤って「エリーゼ」と読まれてしまい、そのままのタイトルが広まってしまった。そんな話がまことしやかに囁かれています。
私も音楽会でそのような説明を聞いたのは一度や二度ではありませんし、Wikipediaにもその説が有力と書かれているのですが、それに意義を唱える記事を見つけました。
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http://jy.txt-nifty.com/blog/2017/08/post.html
こちらを読んでいると、「なるほどー。これはきっと、エリーゼで正しかったのだな」と思わされます。
こんな感じで、作曲者やら曲名やらは、時代とともに研究が進むと通説が覆されることがあり、面白いものです。バッハの著名なメヌエットも、実は別の作曲者だったという話がありました(BWV Anh.114、Ahn.は「偽作」の意だそうです)。