聖の青春

※ネタバレがありますので、ご覧になったことのない方はご注意ください。

『聖の青春』は、実在の棋士、村山聖（さとし）さんを題材にして書かれた小説です。2016年に映画化されていて、それがWOWOWで放送されていたので観てみました。

病気のため若くして生涯を閉じることになった天才棋士、村上聖の半生を描いています。聖は関西で周囲のサポートを受けながら生活をしていましたが、羽生善治を倒すことに意義を見出し、東京へと移り住むことになります。

順調に価値を重ねていった聖は、羽生善治との対戦を重ねるほどの位置にまで登りつめる。しかし、その体は限界を迎えようとしていた。

聖はとにかく破天荒と言いますか、周囲に無頓着と言いますか、将棋で勝つことへの執念があまりにも強いため、他の部分では不器用だったことが分かります。例えば、東京に引っ越した時に、部屋にはカーテンは付けていなかったと思います。（ダンボールで窓の高さまで壁を作っていたように記憶しています）

印象的だったのは、バーでお酒を飲むときでも、麻雀をやるときでも、とにかく勝ちにこだわっていたということです。

意外だったのは少女漫画が好きだったということで、麻雀をやっていたことも含めて将棋以外のこともやっていたようです。

羽生さんとの最後の対局では、一つの指し手のミスで負けてしまいましたが、その後亡くなるまでの対局は全て勝利したということでした。最期の瞬間まで将棋で勝つことにこだわった、自分を貫いた人生だったようです。

何か一つ、自分が命を懸けてでもやりたいものが人生にあるというのは、素敵なことだなあと思います。そこまですることが幸せなのか、そうでないかは難しいところだとは思いますが・・・

映画を観るとやはり、原作の小説というのも気になってきます。いずれは時間を見つけて読んでみたいなと思っています。

聖の青春【電子書籍】[ 大崎　善生 ]

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電子書籍版も出ているんですね。レビューを読んでいて書き忘れたことを思い出しましたが、映画版は（おそらく小説版も）将棋のルールが分からなくても全く問題ありません。

勝負の様子は気迫で表現されています。雰囲気だけでなんとなくどっちが優勢なのか分かるようになっていますし、次の手をどうするといったところではない、もっと人間的な部分が描かれています。